野崎優樹

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情動知能/情動コンピテンス

私たちが、他者と協調しながら社会生活を送る上で、自己と他者の情動を適切に認識し調整する能力は重要な役割を果たします。この能力は「情動知能 (emotional intelligence)」や「情動コンピテンス (emotional compentence)」として概念化がされており、教育や産業などからも注目が集められています。

この分野の研究は、そもそもの始まりが、主に職業や教育現場における実践的応用への関心にあったこともあり、本来初めになされるべき、概念が指し示す内容や成長要因に関する心理学的なモデル化が不十分なまま、応用的な研究が進められてきたという背景があります。しかし、より効果的な教育方法を考えるためには、その背後にある心的メカニズムの理解が欠かせません。

この課題を解決するために、私の研究では、パーソナリティを経験により発達する動的な認知-感情的システムとして捉え、その心的メカニズムと個人差の解明を目指す「社会的認知理論」の視座を取り入れた研究を行っています。これにより、感情と知能の働きを統合する心の働きと、その個人差要因を解き明かすことを目指しています。

[主要業績]

  • 野崎 優樹 (2022). 情動知能と感情制御  有光 興記(監修)飯田 沙依亜・榊原 良太・手塚 洋介(編) 感情制御ハンドブック-基礎から応用そして実践へ- (pp. 95-103) 北大路書房.
  • Nozaki, Y. (2018). Cross-cultural comparison of the association between trait emotional intelligence and emotion regulation in European-American and Japanese populations. Personality and Individual Differences, 130(11), 150–155. [LINK]
  • 野崎 優樹 (2017). 情動コンピテンスの成長と対人機能 −社会的認知理論からのアプローチ− ナカニシヤ出版.

他者の情動調整

上記の課題にアプローチする上で、特に最近の研究で関心を持っているのが、「他者の情動調整 (extrinsic emotion regulation)」です。これまでの情動調整研究では、主に自己の情動の調整が扱われてきました。しかし、日常場面では、悲しんでいる相手を励ますなどの形で他者の情動を調整することもあります。他者のために自分が持つ能力をどのように用いるのか、その心的過程を明らかにするための研究を行っています。

[主要業績]

  • Nozaki, Y. & Mikolajczak, M. (2023). Effectiveness of extrinsic emotion regulation strategies in text-based online communication. Emotion, 23(6), 1714-1725. [LINK]
  • Nozaki, Y. & Mikolajczak, M. (2020). Extrinsic emotion regulation. Emotion, 20(1), 10–15. [LINK]
  • Nozaki, Y. (2015). Emotional competence and extrinsic emotion regulation directed toward an ostracized person. Emotion, 15(6), 763-774. [LINK]

研究テーマ

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